未来に思いを馳せると…・アイキャッチ画像

未来に思いを馳せると…

未来に思いを馳せると…のイメージ画像 とんび

将来や未来に思いを馳せるとどんな感じがしますか。
明るい気持ちになりますか、漠然とした不安を感じますか。
ワクワクした気分でいたいものです。

『他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学』を読んだ。
磯野真穂さんという人類学者の書いた本だ。
(磯野さんは映画『急に具合が悪くなる』の原作著者でもある。)

「予防医学の展開とそれによって惹起させられる身体感覚」
この本のテーマの一つだ。このように書いてある。

『疫学、生物統計学、医療、情報技術の発展は、これまででは考えられなかったようなリスクの事前予測を可能にした。
今ここで何の不調を抱えていなくとも、これらがもたらす未来予測とそれをわかりやすく伝えようとするメディアのおかげで、私たちは来るやもしれない無数の危険に思いをめぐらし、部屋の中にいながらそれに怯えることができるようになった。』

拡大解釈的にまとめると次のようになる。
1、科学技術が発展した
2、あらゆる出来事のリスク予測が可能になった
3、「今は問題なくても、将来的にはリスクがある」とメディアが煽る
4、そして私たちは、いつでも不安を感じるようになった

予防医学の話というよりも、私たちの日常感覚の話だ。
私たちは将来を考え、未来に思いを馳せると、なぜか不安を感じる(ことが多い)。

将来、何が起こるかわからない。
たしかにその通りだ。
しかし、未来にはさまざまな可能性もある。
悪いことも起こるが、よいことだって起こる。
頭ではわかるが、よいことが起こるようには感じられない。

昔はそんなことはなかった。
だいぶ前の話、私が子どもの頃、20世紀だ。
そのころ、未来は明るいものだった。

科学技術が発展して、人々の生活は便利になる。
経済的にも豊かになり、人々は幸せになる。
昨日よりも今日、今日よりも明日、どんどんよくなっていく。
将来や未来に思いを馳せるとちょっとワクワクした。

だからといって、今ほど物質的に豊かだったわけではない。
便利なものは少なかったし、欲しいものも手に入りにくかった。
パソコンを個人で持っている人はほとんどいなかった。
インターネットもなければ、スマホもない。

仕事には手間が掛かった。
パソコンがないから、ワードもエクセルもパワポもない。
文書は手書き、計算は電卓を使い、資料は手作りだ。
Google検索もないから、情報を集めるには手間が掛かった。
必要なものをAmazonですぐに買うこともできなかった。
確実に不便な時代だった。

不便だからこそ、よいこともあった。
何をやるにも工夫の余地があったからだ。
あれを試したり、これを試したり、試行錯誤ができた。
物事の進みは遅かったが、その時間は無駄ではなかった。

試行錯誤は経験となり、さまざまなことが学べた。
残念な失敗もあったが、成功への必要なプロセスだった。
そして試行錯誤のあとの成功には、達成感があった。
やることに手応えがあり、いま・ここに充実感があった。

その後、科学技術は発展した。
そして、生活は便利になった。
しかし実現したのは、想像とはちょっと違う世界だった。

将来や未来を思うと、なぜか不安を感じる。
便利になったのに、なぜか日々、忙しくなっていく。
豊かさが足りないのか、さらなる経済成長が求められる。
そのために私たち自身を成長させないといけない。
もっと速く、もっと速く。
そういう声が響き渡っている。

便利になったら楽になると思ったのに、そこは忙しい世界だった。
便利な世界は、自分の頭を使わなくても良い。
知りたいことがあれば検索すればよい。
困ったらAIに相談すれば良い。
さまざまな情報や知識、やり方を教えてくれる。
それに従えば、ある程度の成果を出すことができる。

みんなが検索やAIを活用する。
誰もが同じような情報を持ち、同じような考え方をする。
行動の仕方も似てくる。
スペックが均質化し、やり方も共通化する。
それはある意味で、パフォーマンスの安定とも言える。

そうなれば、一つの作業に必要な時間が計算可能になる。
計算可能なので、無駄なく効率的に物事を進められる。
予測が可能になり、リスクも洗い出しやすくなる。
個人の工夫や試行錯誤は、予測不能なリスク要因になる。

立ち止まって、自分で考え、試行錯誤する時間はない。
安定したパフォーマンスを発揮するには、決められたやり方で、効率的に無駄なく、速く動くことが求められる。
つまり、忙しくなるのだ。

そんな忙しさに、手応えや充実感は乏しい。
手応えや充実感には、チャレンジが必要だからだ。
自分には簡単に太刀打ちできないものに向かうこと。
あれやこれやと試行錯誤し、失敗したり成功すること。
そこから何かを学び、自分自身が変容すること。
ちょっと汗をかきながら、大変だねと笑顔で言えること。
充実感や達成感は、そういうところにある。

科学技術は物質的な豊かさと、便利さをもたらした。
でも、私たちはそれほど楽にならなかった。
テクノロジーが私たちに代わって仕事をしてくれて、
その分、私たちは有意義な時間を使えるようになる。
そういう未来は実現しなかった。

AIは私たちの代わりに仕事をすると同時に、私たちから仕事を奪う。
それに怯え、備える人がいる。
うまくAIを活用できる人でも、そのぶん忙しくなっている。
その忙しさに、本来の意味での思考や工夫、試行錯誤の時間は少ない。
当然、手応えや達成感は少ない。
にもかかわらず、以前よりもハイレベルな結果が求められる。

科学技術がさらに発展、AIはより高度化するだろう。
でも、私たちのほとんどは忙しいままだろう。
よりハイスピードでの成長を求められるだろう。
それが資本主義というシステムだからだ。

どうせ忙しいなら、漠然とした不安とは距離を取ろう。
わからないことがあってもすぐに検索せず、立ち止まってちょっと考えてみる。
困っている人がいたら、アドバイスなどせず、黙って話を聞いてみる。
時間も手間もかかることだろう。
できる範囲で、工夫をし、試行錯誤を繰り返せばよい。
少しずつ、手応えや充実感が戻ってくるはずだ。

このままだとAIが人類を滅ぼすかもしれない。
世界全体で協力して開発を遅らせるべきだ。
開発者の中から、そういう声が上がり始めている。

ちょっと立ち止まって、自分で考え、試行錯誤しよう。
そういうメッセージともいえなくない。
個人として先取りするのもよいだろう。

「全部ダメだった」と思ってしまう自分へ 何かがうまくいかなかったとき。失敗してしまったとき。A.Tはつい、「自分ってダメな人間だな」と思ってしまうことがあります。そして、一つのことがうまくいかなかっただけなのに、なぜかこれまで自分がやってきたことまで、すべてダメだったような気がしてくる。いやいや、そんなことはない。こ…
「全部ダメだった」と思ってしまう自分へのイメージ画像 A.T
カップラーメンを作るように 「どんな仕事も、本質的にはカップラーメンを作るのと同じ。必要な条件がそろわなければ、それらを完成させることはできない」カップラーメンを作る条件を考えてみる。適量(数百ml)の熱湯、3分の待ち時間(種類による)。この二つくらいだろうか。お猪口いっぱいの熱湯で作ってください。冷たい…
カップラーメンを作るようにのイメージ画像 とんび
AI時代だからこそ、自分で考える力を どうも、オイラです。立場上、部下や後輩から相談や提案を受けることが多い。相談を受けること自体は苦ではないんだけど、最近なんとなくしっくりこないことがある。その原因を考えてみると、大きく2つのパターンが見えてくる。①フィードバックした内容が、そのまま返ってくる。②フィードバックし…
AI時代だからこそ、自分で考える力をのイメージ画像 オイラ

「michimichi(ミチミチ)」とは

ミチミチのロゴ

ここで見つける未知(ミチ)の道(ミチ)

なんとなくで思いついた職業、一部の名前が知られている企業、それだけで就職活動先を選んでいませんか?
「ミチミチ」は、そんな状況でせっかくの出会いを逃してしまっている求職者と企業を結び付けるWebメディアです。

あなた自身が気付いていない、適した仕事、適した職場はもっとあります。
あなたが知らない良い会社が、北海道にはたくさんあります。

あなたの可能性は、まだまだこんなものではありません。
人生は、思いがけないほうがおもしろい!
ここで新たな仕事、新たな企業、新たな未来に出会えますように。