「どんな仕事も、本質的にはカップラーメンを作るのと同じ。必要な条件がそろわなければ、それらを完成させることはできない」
カップラーメンを作る条件を考えてみる。
適量(数百ml)の熱湯、3分の待ち時間(種類による)。
この二つくらいだろうか。
お猪口いっぱいの熱湯で作ってください。
冷たい水で作って欲しいんだけど。
5秒で何とかならないか。
そんな依頼をされたら、どうだろう。
あなたはそれを、「はい」と受けるだろうか。
失敗すれば、あなたのせいにされる。
それではカップラーメンは作れない。
適量の熱湯を注いで、しかるべき時間を待たねばならない。
おそらく、そう説明するだろう。
それでも無理を言ってきたらどうする。
断ろうか。
どうしてもと言うならやるけど、失敗しても責任は持たない。
そう念押しするか。
可能な範囲で調整するのが、現実的な対応かもしれない。
ちょっと少ないお湯で作るけど、味が濃くなっちゃうよ…。
2分でもなんとかなるけど、麺が少し硬くなるよ…。
話し合いで落とし所を見つけることもできる。
ただし、カップラーメンを作る条件が維持できればだ。
条件が崩れれば、カップラーメンは作れない。
シンプルで、分かりやすい話だ。
シンプルな話だが、実際の仕事はそう簡単ではない。
いろいろと複雑なのである。
やりたいことはあるが、漠然としている。
そもそも、予算が決まっている。
その上、納期まで。
そんな状況で、それぞれの人が異なる利益を求める。
条件が多様だし、条件が曖昧だし、条件が変わる。
仕事は、大変なのである。
何かを作るには二種類の方法がある。
ひとつは、手元にあるものを活用し、それらの機能を最大限に引き出し、求めるものを作り出す。
いわゆる、ブリコラージュ的なやり方だ。
人類学者のレヴィ=ストロースが、南米未開部族の調査で発見した。
この場合、よく観察し、あれこれ想像することが大切だ。
手元にあるものをよく観察する。
自分はいったい、何と何と何を持っているのだろうか。
その一つ一つはどんな性質を備えているのか。
どのように活用できるのか。
自分が知らない使い方はないのか。
あれこれ、イマジネーションを働かせる。
よく観察し、いろいろ想像し、求めるものを作り上げる。
もうひとつは、求めるものを厳密に決め、事前にきちんと準備をし、順番にしたがって作る。
いわゆる、計画主義的なやり方だ。
どちらかというと、大掛かりで長期的なプロジェクトなどに向いている。
動き出す前に真剣に考えることが大切だ。
抽象的な言葉で目的や目標を語らない。
求めているものを、細部まで具体的に想像する。
スタートからゴールまで、プロセスをきちんと想像する。
願望に合わせた無理なスケジュールを作らない。
現実的で、実現可能なプロセスをきちんとシミュレートする。
それらを言葉でていねいに整理し、計画を作る。
その計画は、関係する人たちと共有する。
あとは計画に合わせ、人々が動き、求めるものを作り上げる。
ブリコラージュ的なやり方なら、手元にあるものをしっかり観察して、いろいろ想像することが大切になる。
計画主義的なやり方なら、求めるものが明確になるまで考え、必要なものを準備し、実現可能なシミュレーションを行う。
何かを達成するには、上手くいくための必要な条件をそろえなければならない。
カップラーメンを作るように。
条件をきちんと洗い出さない、条件をそろえない。
そんな状態で何かを試みることは、ギャンブルに似ている。
当たるかもしれない、外れるかもしれない。
そんなドキドキがたまらない人もいるのかな。
仕事はカップラーメンとは異なり、複雑だ。
上手くいくための条件を洗い出し、そろえることは難しい。
条件がそろわないまま、仕事を進めざるをえないこともある。
でもそのことは、やるべきことをやらない理由にはならない。
できる限りのことはやっておく。
それにより、どんな条件が足りていないのか。
足りない条件でどのように取り組むのか。
条件が足りないと、どんなリスクが発生するのか。
そういうことを整理して、事前に共有する。
それくらいはできるはずだ。
やりたいことは曖昧、予算ありき、納期だけが決まっている。
そんな状態で動き出せば、どこかに皺寄せが来るのは当然だ。
多くの場合、その皺寄せがやってくる場所は決まっている。
「現場」、わたしやあなたがいる場所だ。
さて、条件は見えていますか、そろっていますか。
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