「子どものころから図書館へ通うのが好きでした」…なんて、優等生っぽいことは書きません。
優等生っぽく演じてはいたかもしれませんが(笑)
小学生のころに流行っていたのは、漫画の伝記本。
エジソン、ファーブル、ナイチンゲール、モーツァルト…とにかく片っ端から読み漁っていました。
私の歴史好きは、間違いなくこのとき芽生えたものです。
一方で、活字ばかりの本はそこまで得意ではありませんでした。
唯一読んでいたのは、親が買ってくれた数々のおとぎ話が詰まった分厚い本。
なぜか今でも忘れられない話があります。
『きつねのなきいろ』というタイトルで、「狐の鳴き色に布を染めてほしい」と頼まれる話です。
狐の鳴き「色」って何だろうと思ったら、オチは「紺色」。
そう、ただのなぞなぞです。。。
なんだそれ!と思いつつも、なぜか何十年も経った今でも心に居座り続けています。
本というのは不思議なものですね…。
高学年になると図書委員になり、絵本『まんじゅうこわい』を全校集会で紹介した記憶もあります。
「自分が面白いと思ったものを、誰かに伝えて共有したい」
少しだけ、自分の気持ちがステップアップした瞬間だったのかもしれません。
◇
そんなA.Tも大学生になり、卒論を書くことになりました。
大好きな音楽と歴史に、哲学なんかも組み合わせた、随分と壮大な論文です。
『ドイツ中心主義的音楽史の歴史性-19世紀のドイツ教養市民層による文化的ナショナル・アイデンティティ形成-』
…はい、いかにも小難しそうなタイトルです、すみません(笑)
参考文献の量は割と多め。
ただ、1冊を丸ごと読破したものはそう多くありません。
自分の仮説を実証するための証拠集めとして、欲しい答えが載っていそうな文献をひたすら調べる日々。
振り返ると、あのころのA.Tは本を「答え合わせのツール」として使っていたのかもしれません。
自分の考えが正しいか確かめるために。
あるいは、自分では言語化できなかった感覚を、誰かが先に言葉にしてくれていないかを探すために。
◇
社会人になると、例に漏れず自己啓発本にも興味を持ち始めました。
特に覚えているのは、アドラー心理学が流行ったとき。
あえてブームの『嫌われる勇気』ではなく『アドラー心理学入門』を購入して読んでいました。
(ブームのど真ん中ではなく、あえて少し外したところを選びたくなる、A.Tのあまのじゃくな性格がよく表れている気がします…w)
職場での人間関係に悩んでいた当時、本書に出てくる「課題の分離」という言葉に救われました。
なんでもかんでも他人の課題も含めて、自分で背負い込んでいたようです。
今でも、仕事や人生で壁にぶつかったとき、無意識に本屋さんへ向かう自分がいます。
ふと目に留まったタイトルを手に取り、パラパラとページをめくって、直感で自分に合いそうかどうかを判断して購入します。
また、ありがたいことに、今の私の周りには「これ、A.Tに合いそうだよ」と本を勧めてくれるメンターのような存在も何人かいます。
自分では選ばない本から、新しい視点や発見をもらえるのも、A.Tにとって大切な時間です。
◇
そうして今も本を読み続けていますが、最近は、昔とは少し付き合い方が変わってきた気もしています。
本に答えが書いてあるわけではない。
本を読んだからといって、悩みがすぐに解決するわけでもない。
それでも本を読むのは、本を開くことで答えが見つかるのではなく、「自分がどんな問いを抱えているのか」が見えてくるからだと思い始めています。
今の自分は何に引っかかっているのか。
何に迷い、何を大切にしたいと思っているのか。
また、新たな「問い」が見つかることもあり、その発見も楽しんでいるのかもしれません。
そんな、本を通した「自己対話」の時間は、A.Tにとって必要不可欠なものであると思っています。
そしてこれは、きっとA.Tに限った話ではないのだろうな…と感じていまして。
まだ右も左もわからない若手のころ。
少しずつ仕事に慣れ、自分の責任や選択に迷い始める中堅のころ。
そして、キャリアを重ねて次のステージを見据えるベテランのころ。
働く中でぶつかる壁や、抱える悩みは、それぞれのライフステージで全く変わっていきます。
だからこそ、どの立場になっても、本を開いて「今の自分に欠けている問い」を見つけ、自分自身と対話する時間は、きっと等しく大切なのだと思います。
本はいつだって、自分を映し出す「鏡」だから。
そのときの自分の面持ちひとつで、同じ本であっても心に引っかかる言葉や見え方が不思議なほど変わるものです。
きっとA.Tは、本を読んでいる時間そのものが好きなのではなく、本を通して自分自身と向き合う時間が心地よく感じているのだと思います。
だから、読書家ではないけれど、やっぱり本が好きです。
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